ほるべー隊長のブログ

雪国在住者が思う「大雑把な天気予報とデタラメな報道がもたらす弊害」について

どうも、ほるべー隊長です。

自分は東北の豪雪地帯に住んでいるのですが、冬が来るたびに大雑把&デタラメな天気予報にうんざりしています。

しかもその無責任な予報によって多大な被害や迷惑を受ける場合もありますから、今回はぜひその理由を皆様にも知って頂きたく、記事にしました。

天気予報関係者やマスコミの方々もぜひ真剣になって考えて頂きたい問題です。

大雑把で不正確な『都道府県別の初雪観測マップ』は即刻やめるべき

桜の開花情報並みに風物詩となった初雪観測。 

しかし・・・

これほど大雑把で当てにならない情報はありません。

なぜなら、県庁所在地の観測所での情報をもとに発表しているからです。

例えばこれを見てください(お馴染みの初雪マップ)↓

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北からズラッと初雪が観測された都道府県が青く表示されていますが、12月2日(R3年)の時点で雪国であるはずの新潟県はまだ初雪を観測していません。

新潟県の場所がわかりやすいように自分がピンク色で表記しました

これを見る限りでは、まるで新潟県はまだ雪が降っていないという印象ですよね。

しかし!

実はこの時すでに新潟県長岡市南魚沼市などの内陸部ではとっくに初雪は観測しており、場所によっては積雪している地域もあるのです。

新潟県の場合、県庁所在地があるのは『新潟市』ですが、ここは県内でも雪が非常に少なく、沖に浮かぶ佐渡ヶ島日本海からの季節風を遮る為、雪雲が流れ込みにくい地形です。

ですからこのような初雪マップでは、新潟市で初雪を観測しない限り、永遠に新潟県は雪が降っていない県ということになります。

新潟県へ旅行や仕事など、クルマで行こうと計画していた人がこの地図を見れば、

「タイヤチェーンは必要ないな」

と考えるかもしれません。

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危険過ぎます。

「今日は◯◯市と◯◯市で初雪を観測しました」というように、詳しく地域ごとに初雪情報を報道するのならばよいのですが、このような都道府県ごとの表示は即刻やめるべきです。

弊害が多く、意味がありません。

 

北陸地方は大雪の予報」などに見られる全国版天気予報の致命的な問題点

全国版天気予報だと、具体的に『どの地方』の『どの地域』が大雪になるのかという報道が非常に大雑把です。それによる報道被害も起きるのです。

 

その最たるものが『北陸地方が大雪』という予報。

冬になれば何度も何度もこの報道を目にします。

しかし北陸地方のどこが大雪になるのかということはほとんど無視。

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北陸地方と言ってもかなり広いですよ?

具体的にどこが大雪で警戒が必要なのですか?

それとも北陸地方全域なのですか?

こういった重要な情報が欠落しているのです。

とにかく北陸は大雪で警戒!!

 

このような報道によって北陸地方に対するイメージは、

「冬はとんでもない量の雪が降っているところ」

という印象ではないでしょうか?

北陸地方とは、

新潟県』『富山県』『石川県』『福井県

この4県です。

しかし、本当に毎年のように大雪に見舞われるのは新潟県中越地方(十日町津南町付近)や他3県の山沿いなど一部にしか過ぎません。

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その一部を切り取り、まるで北陸地方全体でメーター超えの大雪が降るかのごとく報道は即刻やめるべきです。

※「多いところで」という但し書きを入れてますが全然目立ちませんし、入れていない報道機関も多数存在します。

ドカ雪を例外として、北陸の主要都市で毎年しっかりと積雪がある都市は少ないです。

富山市は比較的積雪量が多めですが、新潟市金沢市福井市はイメージとは裏腹にびっくりするくらい積雪量は少ないのです。気象庁の年間積雪量累計を見れば一目瞭然です。

これに関して風評被害の例を挙げます。金沢市で旅館業を営む方が自身のブログで発信していた内容を抜粋しました↓

冬になると必ずと言っていいほど天気予報は「北陸地方が大雪」と言う。それはごく一部の地域での話。金沢市ではそんな災害級の大雪はほぼ無い。金沢市民は毎回そのように大げさな予報は当てにならないことを知っているが、何も知らない遠方から旅行で来ようとしている人はどう思うか?全国ニュースで災害級の大雪になると言われて、「それでも金沢へ行こう」と考える人がいるだろうか?はっきり言って風評被害そのものである。

このような例は北陸に限った話ではありません。

北海道や東北でも同じです。『しっかり降る』地域もあれば、ほとんど降らない地域もあります。東北では『宮古市』『石巻市』『仙台市※一部山間部を除く』『いわき市』など太平洋側に面した地域はほぼ降雪がありません。

とにかく〇〇地方という大きな括(くく)りで、ひとまとめにして報道をするからこのような事態になるのです。

確かに広く浅く伝えなければならない全国版天気予報では仕方がない部分もありますが、やはり出来る限り詳細に予報を発表するべきです。

ついでに言うなれば、

北陸地方が大雪だ!!」

と、から騒ぎしている傍らで、北海道の旭川市北見市青森県青森市秋田県湯沢市横手市山形県新庄市など『豪雪が日常の都市』では本当に災害級の大雪に見舞われていることが多々あります。

毎回北陸ばかりが注目されて、たいしたニュースにはなりませんが・・・

 

わざわざ報道をする意味がわからない例

「一体何のため?」

「その報道って必要あるのか?」

「単なる視聴率アップのため?」

・・・

マスコミはこういう意味不明な報道をすることが多々あります。

その例をご紹介しましょう。

毎年恒例「青森県酸ヶ湯が記録的な大雪!」という報道

おそらくこの報道を一度は見たことがあるでしょう。

と言いますか、マスコミは冬になると幾度となくこの報道を流します。

ところで青森県酸ヶ湯はどこにあるかご存知でしょうか?

↓こちらです(赤い印の地域、右写真は拡大図)

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八甲田山系の標高約900mに位置し、温泉好きには有名な名湯『酸ヶ湯温泉』があるところです。

人里からはずいぶんと離れた山奥で、『町』や『村』は無いので住んでいる人はおらず、温泉宿が1軒あるのみです。

ですから毎度のように全国版の天気予報などで取り上げる必要性は低いと言わざるを得ません。

それなのに・・・天気予報やマスコミは毎年毎年この地域の積雪情報を大々的に全国に向けて報道します。

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↑こちらは日本テレビ系列の報道の一部ですが、そもそも観測史上1位というのは間違い。気象庁の観測記録によれば、1927年滋賀県伊吹山での11.8mが観測史上最高記録です。

 

確かに酸ヶ湯には気象庁が設置している『アメダス』がありますから、積雪量の観測ができますし、実際に雪深い豪雪地帯です。

しかし、天気予報や報道というものは気象に関しての警戒情報を、そこに住んでいる方々などに伝えることが主な目的のはず。

温泉宿があるとはいえ、わざわざ酸ヶ湯が記録的な大雪だという報道を全国に向けてしつこく発信する必要はないのです。

そもそも東北の山奥ですから豪雪になるのは当然ですし、アメダスが設置されていない地域も含めれば、酸ヶ湯よりも積雪量が多いところは他にたくさんあるのです。

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マスコミは、酸ヶ湯に『アメダス』が設置されていることを利用して、

「こんなに大雪です!」

「青森は大変なことになっています!」

という単に視聴率アップだけを狙った報道をしているだけなのです。

 

一般の人で酸ヶ湯がどこにあるのかを詳しく知っている人は少ないです。ですから、このような報道を見れば青森県は記録的大雪という印象を植え付けられ、前項で書いた『北陸が大雪という報道による金沢市風評被害』とまったく同じことが起きてしまいます。

 

そもそも、なぜ気象庁酸ヶ湯アメダスを設置したのかも疑問。

気象に関する研究の為でしょうか?

まあ、それに反対するとは言いませんが、それを悪用して風評被害を生み出すマスコミには嫌悪感しかありません。

「長野県菅平は北海道よりも寒く、本日の日本最低気温を記録!」という話題作りでしかない無意味な記事

北海道は日本一寒いというイメージがありますよね。

しかし、

「北海道よりも寒いところがあった!」

と言われれば、興味を示す人も多いかもしれません。

このように、わざと読者の好奇心を煽るような記事を書いている天気予報サイトがありました。

↓こちらです

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では長野県菅平はどこにあるかご存知でしょうか?

↓こちらです(赤色で囲った地域)

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標高1,300mを超える高原地帯で、ふもとには上田市東御市などがあります。

ここは前述した酸ヶ湯とは違い、住んでいる人もいますしホテルなどの宿泊施設なども多いです。

そして、『アメダス』も設置されています。

この問題の記事は、確かにアメダスの記録に基づいて言えば、『菅平がこの日の日本における最低気温を記録した』という事実を書いていることに間違いはないのですが、

『全国で最も寒いのは北海道ではなく長野県』

という表現の仕方は読者ウケを狙ったものであるとしか考えられません。

特に、

『北海道よりも寒い』

という記述は行き過ぎであり、完全な虚偽表現です。

なぜなら、北海道も長野県菅平と同じ標高1,300m付近での比較をすれば、間違いなく北海道の方が気温は低いです。

北海道の高原・高山といえば大雪山利尻山が有名ですが、アメダスは設置されていません。

この記事は単に『アメダスがある場所』でのNo. 1を紹介しただけ。

要は北海道や長野県など全く関係なく、アメダスの設置場所次第だということ。

 

放射冷却のために気温がさがった」などとそれらしい事を書いていますが、はっきり言ってこの記事は、読者ウケだけを狙ったゴミ記事です。

一体誰が書いたのですかね?

 

※ ※ ※

 

長野県菅平付近のアメダス設置について、もう一つ疑問があります。

それは、菅平のふもとにある上田市にもアメダスが設置されているのですが、

なぜか上田市アメダスには積雪量を測る機能が付いていないのです(菅平には有り)。

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上田市はこの地域の中心都市で、多くの住民が暮らしています。

にもかかわらず、なぜ積雪計が無いのか疑問です。

上田市はそれほど積雪量が多い地域ではないですから、気象庁は必要無しと考えたのでしょうか?

いや、必要でしょう。

少なくとも菅平高原よりは必要でしょう。

気象庁も一体何を考えているのか・・・

 

長野県が雪国であるという印象を強固にする全国版天気予報

これは特に弊害というものではありませんが、県庁所在地の場所によって、県に対するイメージがガラッと変わるという話です。

さて、長野県といえば冬季オリンピックの舞台にもなった「ウインタースポーツのメッカ」であると同時に、全国的にも「雪国」のイメージがとても強い県です。

冬になると全国ニュースの天気予報ではかなりの確率で雪マークが付いています。

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しかし・・・

実は長野県も山間部や一部を除けば、平均すると積雪量は少ない地域です。

南北に広く、簡単に言えば北にいくほど雪は多いです。

天気予報全国版で取り上げられる都市は県庁所在地になりますが、長野県の場合は長野市が県庁所在地。

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ずいぶん北にありますよね。

長野市もそれほど降雪量は多くないのですが、冬になればしっかり『雪マーク』は付きます。

しかしそれより南の松本市飯田市などは、長野県版の天気予報を見れば明らかですが、冬季でもほぼ毎日『晴れマーク』なのです。

ですから仮に松本市が県庁所在地だった場合、全国版では『長野県は晴れ』で表示されることが多いわけですから「長野県は雪国」という印象は確実に薄まっていたはずです。

長野県はウインタースポーツでの経済効果の恩恵を受けているという事実がありますから、雪国のイメージがなくなってしまうことは大きな痛手なのです。そういった意味では長野市が県庁所在地で良かったのかもしれません。

ただし長野市の観測所について一つ苦言を。これは長野市在住の友人から聞いた話です↓

長野市の観測所は長野市民の多数が暮らしている地域よりもさらに標高の高い場所にある為、天気予報が当てにならない。とくに冬、雪マークが付いても自分の住んでいる地域では降らないことが多い。気温も予報とは違ってくるし、なぜあの場所に設置したのかが疑問。

観測所の場所が適切でないという地域は全国各地に多数存在しますが、長野市も例外ではないようです。 

 

新潟市の雪マークの多さには疑問しかない

前章で長野県を取り上げましたが、次はさらに雪国の印象が強い新潟県について。

確かに新潟県は全国有数の豪雪地帯を抱える県であることに間違いはありません。

ただ、繰り返しになりますが新潟市の降雪量・積雪量はとても少ないです。

といいますか自分も数年間新潟市に住んでいたことがあるのですが、あまり雪が降った記憶はありません。ほとんどミゾレか雨です。

それなのに天気予報で雪マークになる確率が非常に多い!

特に全国版では確率が高いです。

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これが同じ新潟県でも長岡市上越市なら納得しますが・・・

新潟市ですよ?何かの間違いでは?

 

先にも説明しましたが、新潟市日本海側にあるにもかかわらず地形的に非常に雪が少ない地域です。

なぜなら、季節風(雪雲)を遮ってくれる『佐渡島』があるからです。

いわば佐渡島新潟市の防波堤のような役割を果たしています。

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新潟市は、新潟県内ではトップクラスで雪が降らない地域なのです。

雪ではなく雨になる気温なのに堂々と雪マークの表示を連発。

これは過剰ではないでしょうか?

実際に新潟市民の方々も困惑しているようでした。

これは恐ろしい憶測になりますが↓

新潟県も長野県同様にウインタースポーツが盛んな土地柄。しかし全国版天気予報では最も雪が降らない『新潟市』での予報が出てしまい、正直に予報すれば真冬でも『雨マーク』が多くなって雪国のイメージが遠のいてしまう。それによってスキーなどの観光にも悪影響が出るかもしれない。そこで、少しでも雪の可能性があれば『雪マーク』の表示をするように何らかの力が働いているのではないか?

自分はこのように考えています。 

以前、新潟県の関係者がこのことについて事実を認めるかのような発言をしているのを聞いたことがあります。もちろん、真偽は不明です。

ただ、天気を利用して地域の活性化に役立てる手法は確実にあります。

たとえば真夏の最高気温。

『日本一暑い町』の称号が欲しい自治体は日本最高気温を更新することに躍起ですよね。それを売りにして経済効果の向上に繋げたいのでしょう。

つまりこのような事実がある以上、新潟市の事例も完全に否定はできないと考えられます。

 

雪はマスコミにネタを提供するためのものではない

雪国在住者にとって雪とは・・・

それは天からの贈り物であると同時に、災害をもたらす危険な側面も持っています。

ですから、冬になれば雪には十分に警戒をして生活をしていかなければならないのです。

しかしマスコミなどの報道機関にとっては、雪による災害も視聴率アップの為の道具に過ぎないのでしょう。 

例えば令和3年1月に北陸自動車道で発生した自動車の立ち往生事案。

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同情を装いながら、わざわざ現場に行って大変な思いをしている運転手にインタビューをしてみたり、ひどいケースでは自らも自動車で突入してみたり。

邪魔以外の何者でもありません。

 

それから数年前、青森県酸ヶ湯温泉では積雪量の多さを誇張するために取材クルーがわざと雪に埋もれて撮影するという暴挙もありました↓

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これはたまたま宿泊者に撮影された写真です

酸ヶ湯については先ほども触れましたが、

マスコミは酸ヶ湯を利用して、視聴者を騙してまでも視聴率アップを獲得したいという、もはや報道機関とは呼べない愚劣な連中である事がわかります。

 

本当に、「雪国をなめるな」と言いたいです。

これぞ事実を無視した完全なるフェイクニュース(虚偽報道)です。

 

天気予報も事実を正確に報道してほしい

雪国在住者の冬の生活には、天気予報などの情報は絶対に必要なものです。

例えば、明日の朝までに降る雪の量はどれくらいなのか?

多ければ雪かき作業で早起きをする必要がありますからね。 

他にも天候の急変はないか?などなど。

ですから、今回いくつか取り上げた事や前章で述べた腐ったマスコミの例に限らず、天気予報においても誇張や虚偽の情報ではなく真実の情報を発信して頂きたいのです。

命に関わる問題でもあるのですから。

 

※ ※ ※

 

以上、『雪国在住者が思う「大雑把な天気予報とデタラメな報道がもたらす弊害」について』でした。

 

天気予報は自然が相手ですから『アタリ・ハズレ』が起きてしまうのは仕方がないとしても、せめて事実を正確に報道する姿勢を見せてほしいと願うばかりです。

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