初・中級者でも弾けるショパン至高の名曲をご紹介
ほるべー隊長です。
ショパンって憧れますよね〜!
でも、「難しい!」とか「高嶺の花だ!」というイメージが強くて、
「自分にはとてもムリ!」
と思っている方も多いと思います。
しかし!
ショパンは上級者向けの曲だけを作曲したわけではありません。
初・中級者でも充分に弾ける名曲も多く残しています!
さすがはショパン様!!!
ということで、そんなショパンの曲を幾つかご紹介していきますね。
しかも単に易しいだけではなく、『至高の曲』を厳選してみました。
初・中級者の方も、ピアノ音楽の最高峰と言われるショパンワールドにどっぷり浸かって下さい!
- 前奏曲第4番 ホ短調 Op.28-4
- 前奏曲第7番 イ長調 Op.28-7
- ワルツ第3番 イ短調 Op.34-2
- ワルツ第12番 ヘ短調 Op.posth.70-2
- マズルカ第11番 ホ短調 Op.17-2
- 最後におまけ:ノクターン18番 ホ短調 Op-62-2
前奏曲第4番 ホ短調 Op.28-4
この曲はショパンの中ではかなり難易度が低く、技巧的には『エリーゼのために』よりも易しい構成になっています。
演奏時間は約2分。
しかし独特の憂鬱な曲想で、まさに涙があふれるような名曲です。
なんといってもこの曲は、ショパンの葬式の際に演奏された曲です。個人的にはもっと有名になってもよい曲だと思います。
右手で弾く旋律は、終始悲壮感があふれるメロディーで、それを支える左手の和音は半音階的に下降していく見事な手法が用いられ、何となく『生死のはざま』を連想させます。
上記譜面はこの曲の最初の部分ですが、パッと見ただけでは音符の数も少なくて単に簡単な曲のように見えると思います。
しかし!
ぜひ実際に聴いて(弾いて)みて下さい。ショパンワールドに引き込まれますよ。
涙なしでは弾けません。
前奏曲第7番 イ長調 Op.28-7
「太田胃酸の曲」と言えばお分かりだと思います(笑)
この曲は多くのブログページなどで取り上げられていますので自分はパスしようと思いましたが・・・やはり外せない名曲ですからご紹介させていただきます。
演奏時間は約1分。
3拍子の曲で、ショパンの故郷ポーランドの舞曲、『マズルカ』風になっています。
難易度は易しく初級者でも演奏可能ですが、後半部分に1箇所ですがオクターブを越える和音があります。よほど手の大きな人でなければ押さえられませんので、そこは分散させて弾くのが一般的です。
ショパンの評論家達は「小曲だが、マズルカ的要素が凝縮された名曲」という評価をしているのですが、やはり日本では「太田胃酸の曲」というイメージが強く、本来の評価にはなっていない曲ですね。
ワルツ第3番 イ短調 Op.34-2
ワルツが持つ華やかさとは程遠く、ショパンのワルツの中では哀愁が漂う異質の曲です。どちらかと言うとマズルカの部類に入ると思います。
故郷ポーランドを離れていたショパンが、ポーランド戦乱の知らせを聞いた頃に作曲したと言われており、その気持ちが曲に乗り移ったのかもしれません。
巧みな転調により陰(短調)と陽(長調)が融合した傑作で、まさにショパンの天才っぷりを堪能できます。
実はショパンは自身が作曲したワルツ(20曲以上)の中で、この3番を一番好んで弾いていたという逸話が残っていますよ。
それだけに初級者にはややハードルが高い曲と言えますが、ぜひチャレンジして欲しい曲です。中級者ならば全く問題なく弾けますよ。
演奏時間は約5分半。
結構長い曲ですが、繰り返しが多いので譜読み自体はそれほど苦にはなりません。
ショパン作品の中では難易度が易しい部類に入るにもかかわらず、
「まさにショパンを弾いている!」
という感覚に包まれる傑作ワルツです。
ワルツ第12番 ヘ短調 Op.posth.70-2
ワルツ12番はショパンのワルツの中でも難易度は低いので初級者でも頑張れば弾けます!
この曲は非常に甘〜い旋律にあふれた曲で、ピアノの詩人ショパンらしい優美さがムンムンです。評論家からは「歌曲のようだ」との酷評を受けることもありますが、反面とても聴きやすいメロディーです。
一言で言えば『とても優雅な曲』で、すご〜く上品!自分も大好きなワルツです。
曲の構成は『へ短調』と『変イ長調』2つの部分から成り立っており、譜読みは比較的容易です。
演奏時間は約3分半ですが、出版譜によっては半分になります。
これは単純に曲の繰り返しをするかしないかの違いです。
↓こちらの演奏は『繰り返さない版』です
マズルカ第11番 ホ短調 Op.17-2
よほどのショパンマニアでない限り『マズルカ』を好んで弾く(聴く)人は少ないです。
ですがマズルカはショパンという作曲家を理解する上で絶対に欠くことができない音楽です。
なぜなら、ショパンは日常的な感情などをマズルカにて表現していることが多いからです。
いわばマズルカはショパンにとっての即興的なスケッチであり、ショパンの内面性を知ることができる音楽なのです。
ですから著名なピアニスト達は必ずマズルカを研究します。
しかし!
マズルカは50曲以上あり、一体どれを弾いたらよいのやら?
ということで厳選しました。
初・中級者の方におすすめなのは『11番』です。
この曲は技巧的に易しいレベルであるにもかかわらず、ショパンらしい優美なメロディーや様々な音楽技法がぎっしり詰まっていますよ。
ぜひこの11番でマズルカの魅力を堪能していただき、さらに13番・17番・36番などの大曲にもチャレンジして下さい!
最後におまけ:ノクターン18番 ホ短調 Op-62-2
最後にもう一つご紹介します。
ノクターン18番。
ノクターンといえば2番があまりに有名ですが、自分がおすすめするのは18番。
まさに玄人好みの傑作、隠れた名曲です。
この曲はショパンの最晩年に作曲された、最後のノクターンです。
難易度はやや高いですので完全に中級者以上のレベルになります。
この曲が作られた背景を簡単に説明すると、
ショパン自身、病気でもう長くは生きられないという状況の中、献身的に支えてくれていた恋人(ジョルジュ サンド)との別れを経験するという絶望の中で書かれた曲です。
しかし実際に18番を聴いてみるとわかりますが、『平穏な音楽』という印象を受けると思います(※同時期に作曲された17番には感情の起伏が強く見られます。こちらも傑作です)。
そして、すべてを悟ったかのような感情も読み取れます。
そう、このノクターンは死を覚悟した偉大な作曲家が残した音楽遺産なのです。
終始、穏やかな曲調ではありますが、その中に見え隠れする悲哀な表情が涙を誘います。
個人的にグッとくる箇所は、フィナーレに向かう部分↓
曲の終わりから4小節前の部分、赤丸で囲った箇所『レ#』の音。
専門的な話で申し訳ないのですが、ここで使われている『レ#』は7番目の音、コードで言えばメジャーセブンスになります。
このコードは、近代フランス音楽やジャズなどの音楽で多用されるコードで、非常に透明感のある響きを奏でます。
しかしショパンの時代に使われることは少ないですし、ショパンの全作品においてもこの音を響かせる手法は非常に珍しいです。
これは個人的な推測ですが、
「こういう響きもあるのだよ」と。
この曲は17番と並び、音楽遺産と呼ぶにふさわしい極上の音楽です。
ぜひ中級者以上の方にはチャレンジしていただいて、しっとりと弾いてみて下さい。
ショパンピアノ芸術の極致が味わえますよ。