電子ピアノでも間違いなく上達できます
どうも、ほるべー音楽隊長です。
「電子ピアノでは上達は厳しい・・・」
という意見をよく耳にしますが、
はたして実際はどうなのだろうか?
その理由をわかりやすく解説していきます。
自分も約20数年、電子ピアノを所有してきました。
数回買い替えていますが、現在使用している電子ピアノは「ローランドHP704」という機種です。 20万円台の中堅クラスです。
これからピアノを始めようという方や、お子様に習い事としてピアノを考えている親御さんなどは、
『本物のピアノ』にすべきか、それとも『電子ピアノ』にすべきかということを悩んでおられる方が多いのではないでしょうか?
しかし、やはり住宅事情などで電子ピアノの購入を第一候補に挙げてはみたものの「はたして上達は出来るのか」という疑問がありますよね。
しかも一部のピアノ講師の方は、
「電子ピアノでの上達は不可能である」
「電子ピアノはやめるべき」
「できれば本物のピアノを購入しましょう」
とおっしゃる方もおられます・・・
しかし、自分は全くそうは考えていません。そのような意見は真っ向から否定します。
結論を申し上げますと、
電子ピアノでも間違いなく上達できますし、むしろ積極的に使用するべきです。正しく活用すれば、これほど上達を手助けしてくれるアイテムは無いと断言します。
ではその真相を詳しく解説していきますね。
注意)ただし、ここで言う電子ピアノとはあくまでもアコースティックピアノ(生ピアノ)を模した据え置き型のものを言い、ロックバンドなどが使用している持ち運び可能なキーボード型や簡易的なものではありませんのでご注意下さい。
- 電子ピアノでも上達が可能な理由やメリット
- 電子ピアノが本物のピアノに及ばない部分やデメリット
- 電子ピアノで練習をするときの注意点
- 電子ピアノではどのレベルまで上達可能なのか?
- 『上達』という言葉の意味にご注意を
- まとめ
電子ピアノでも上達が可能な理由やメリット
では、なぜ電子ピアノで上達が可能なのか?そしてアコースティックピアノでは得られないメリットなどもお伝えしていきます。
現在の電子ピアノは限りなく本物のピアノに近い打鍵感を再現していること
まずは現在の電子ピアノってどれくらい本格的に作り込まれているのかを説明しましょう。
約20年前、自分が初めて買って弾いた電子ピアノはまるで『おもちゃ』のような弾き応えでした。
その頃の電子ピアノと言えば、
弾いた時の感触は軽くプラスチッキーで、鍵盤そのものがカタカタして安定感に欠けており、いわゆるキーボードを弾いているような感覚でした。
確かにこれでは本物のピアノとは全く違う弾き心地ですから、実際に本物のピアノを弾いた時の違和感は大きいです。
その当時グランドピアノも所有していて夜間の練習用として電子ピアノを購入しましたが、弾いた時の感覚や音質が全然違うので、どうしても本物のピアノとは全くの別物という感覚でした。
ところが最新の電子ピアノは技術革新によって驚くほど進化しています。
特に20万円以上のクラスになると、弾いた時の打鍵感に関しては本物のグランドピアノに限りなく近いです。
※『YAMAHA』HPより一部抜粋
これには本当に感心させられます。
特に弾いた時の感触、『打鍵感』というものはピアノ演奏技術の上達には大切な要素になります。
できる限り本物のピアノと同じ感触でなければいけません。
なぜなら・・・
当然のことですが『ピアノの上手・下手』は本物のピアノの演奏能力を基準に評価されるからです。
本物のピアノが世の中に存在する限り、それが覆ることはありません。
従って、電子ピアノが本物のピアノと全く違う打鍵感であれば、いくらそれで一生懸命練習を重ねたとしても、
『電子ピアノを演奏する能力』は向上するかもしれませんが、
『肝心の本物のピアノを弾く技術』は上達するとは言い切れないからです。
ぶっちゃけ、「これから先ずっと電子ピアノしか弾かないよ」っていう人には、いくら電子ピアノが進化して本物のピアノに近づいたとしても、全く関係ないことです。
ちょっと話がそれてしまいましたが、
とにかく現在の電子ピアノは技術革新によって限りなく本物のピアノに近い打鍵感を実現しています。
ほぼ違和感がありませんから、本物のピアノも同じように演奏ができるということです。
加えて、鍵盤を弾いた(押した)直後の『戻りの早さ』もグランドピアノと同等のレベルを実現していますから、速いパッセージや同音連打、トリルなどが必要な難易度の高い曲などもグランドピアノと同じように演奏が可能です。
むしろこれに関しては構造上無理があるアップライトピアノよりも優れているのではないかとさえ思います。
本物のピアノに比べてピアノに触れる(弾く)時間が増えること
『いつでも練習が可能なこと』
『練習時間の大幅な向上』
やはり電子ピアノ最大のメリットはこれです。
対するアコースティックピアノは防音室を備えている家庭や、夜中にどれだけガンガン弾いてもOKという住宅環境でない限り、どうしても練習時間に制約ができてしまいます。
特にグランドピアノは大音量ですから、ご近所中に音が響き渡るくらい凄まじい音を発します。
掃除機や洗濯機の比ではありません。
果たして一般的なご家庭は、そんな大音量のアコースティックピアノで存分に練習できるような環境でしょうか?
マンションやアパートではほぼ無理でしょうし、持ち家でも厳しいかもしれません。
自分の場合は持ち家でグランドピアノも所有していますが、夜間はご近所さんや同居家族に配慮して電子ピアノで練習をしています。
このようにアコースティックピアノの場合、夜間は言うに及ばず、たとえ日中の練習であっても同居家族やご近所さんの理解を得ることが必要になりますから、どうしても練習できる時間帯に制約が出てしまい、絶対的な練習時間が不足してしまいます。
充分な練習時間がなければ上達できないのは当然のことなのです。
特に初心者や子供はとにかく鍵盤に触れる(弾く)機会を多くしてピアノという楽器の演奏に慣れていくことが上達への第一歩になります。
しかし言うまでもなく電子ピアノは、
「いつでも」
「好きなときに」
「弾きたくなったときに」
演奏や練習ができます。
当然ながらこれはとてつもなく大きなメリットですが、
実はあまり語られることがない非常に重要なメリットも含んでいます。
↓
「いつでも弾ける電子ピアノ」にはこのような副次的な効用もあるのです。
いくら高価なグランドピアノを所有していたとしても、練習そのものが出来ない、または練習時間が限られているという環境であれば残念ながら全く上達は見込めません。
誰にも気兼ねなく、自分の世界に入って存分に練習に打ち込めることで上達につながる
ピアノは、他人を気にしながら練習をしなければならない環境ではとても上達は見込めません。
ちょっとその一例をご紹介します。
↓
お子さんがアコースティックピアノを弾いていたとします。
アコースティックピアノは家中にその音が響き渡ります。
テレビの音などもピアノの音にかき消されてしまいます。
そこでお父さん(お母さん)が、
「ピアノの音がうるさいから練習やめて」
という一言を放ったらどうなるでしょう?
おそらくそのお子さんはとてもショックでしょう・・・
ピアノへの練習意欲が無くなってしまうかもしれません。
これは絶対に言ってはならない一言なのです!
しかも言われた子供さんはそれ以降、相当気を遣って練習するようになりますから、
意識的に弱いタッチで練習するクセが付いていきます。
これでは本末転倒です。
とても上達は望めません。
満足に音を出せないような住宅事情ならば、アコースティックピアノを購入しても意味がありません。むしろ完全に消音が可能な電子ピアノで思う存分練習したほうがずっと効果的なのです。
自身の演奏の録音再生が可能なことや、お手本となる演奏がサンプリングされていること
これは電子ピアノ特有のメリットですが、多くの機種には自身の演奏を録音再生できる機能が付いています。
これによって自身の苦手な部分などの把握が可能となり、反復練習などに役立ちます。
客観的に自分の演奏能力を知ることができるということです。
それから上位機種では初級のレッスン時に使用する「ツェルニー」や「ハノン」といった教材の模範演奏がサンプリングされていますから、あらかじめ曲のイメージを掴む事ができて早い上達につながります。
これも大きなメリットです。
電子ピアノは安価で購入でき、置き場所にも困らない
これも電子ピアノのメリットですが、本物のピアノに比べて非常に安価です。
廉価版は新品でも5万円台で購入可能で、高価なハイエンドクラスでも40万円台です。
ただ、10万円以下の廉価版は完成度が低いのでおすすめしません。個人的には20万円クラスがおすすめです。現在の電子ピアノならこの価格帯の機種でも充分すぎるパフォーマンスレベルです。
アップライトピアノですと、新品であれば最も安価な機種でも50万円台からになりますし、グランドピアノにいたっては100万円台からという価格帯になってきますから、初心者が気軽に購入できるようなものではありません。
それから電子ピアノは『調律』が必要ありません。本物のピアノであれば、年に一回は調律をする必要があり、おおよそ1〜2万円かかります。
初心者や子供にとって、はたして長続きするのか分からないピアノという趣味(習い事)にいきなりそんな大金を投資するのは勇気がいりますよね。
もう一つ、『置く場所』の問題があります。
グランドピアノは一般的に6畳間のスペースは必要だと考えてください。
一つの部屋をピアノ専用の練習室にしなくてはなりません。
ピアノは意外と場所を必要とする楽器です。
その点、電子ピアノならばイスに座って演奏するのに必要なスペースは1.5〜2畳程度で済みます。
リビングや部屋の片隅に置けるサイズですから置く場所に困るということはほぼありません。
アップライトピアノも電子ピアノほどではありませんが、それほど場所は取りません。
いずれにしても、実際に楽器店などで現物を見てサイズを確認していただくことをおすすめします。
中・上級者にとっても電子ピアノは重宝します
初心者や初級者と同様に、
中・上級者にとっても『夜間だろうが、いつでも弾くことができる』というメリットは非常に大きいのです。
例えば・・・
私事で大変恐縮ですが、自分は幼少期からピアノを学び、音楽大学を卒業しています。
現在自宅で所有しているピアノはヤマハのグランドピアノ(C3、1997年式)と、同じくヤマハのアップライトピアノ(1975年式・形式不明)、それに電子ピアノ(ローランド:HP704)の3台です。
自宅の電子ピアノ「ローランド:HP-704」
現在はピアノとは無縁の仕事をしており、実際にピアノを弾くことができる時間は休日または仕事から帰った後の夜間に限られます。
ただし我が家には防音室がありませんので家族や近所さんなどに配慮して、グランドなどのピアノは夜間は迷惑ですから弾けません。
お分かりの通り、所有している3種の中で唯一夜間でも弾けるのは電子ピアノです。
ピアノとは無縁の仕事をしているといっても、やはりピアノは弾きたいのです。
常に毎日弾いていないと、どんどん演奏技術は錆び付いていきます。
確かに電子ピアノは『表現力』などに関しては本物のピアノに劣ることは事実ですが、それよりも『指を動かす』ということを継続的に行うほうが演奏技術の維持には大切なことです。ピアノの演奏技術は、弾かない日が1日あればそれを取り戻すのに3日掛かると言われています。おそろしい現実です・・・
それからもう一つ、
過去に音大を受験する際には連日さんざん練習をしましたが、日中だけでなく夜も練習をしたいという理由もあり電子ピアノを購入しました。
練習時間の拡大が目的です。
その当時の電子ピアノ(1996年頃)は冒頭でも述べましたが現在の最新式に比べてまだまだプラスチッキーな感覚が強く、本物のピアノのような弾き応えを得られるものではありませんでしたが、
『指使いの確認や譜読み』
『ミスタッチを減らす』
といった内容の練習には重宝します。
このように上級者にとっても使い方次第では本当に役に立ちます。
初心者に限らず、すでに本物のピアノに慣れている中・上級者にとっても電子ピアノは決して持っていて損は無いのです。
事実、学校の音楽の先生なども授業で使う曲の伴奏を練習するために電子ピアノを活用されておられるケースも多いです。
初見練習に役立つこと
中級者以上になってくると『初見練習』を始める人もおりますが、初見練習には『表現力』や『演奏技巧の鍛錬』はほぼ必要ありません。
初見練習は『初めての曲を楽譜を見ながら演奏する能力』を鍛える練習です。
ですから極端な話、
鍵盤の弾き応えや弾き心地は練習内容に関係ないため、鍵盤数が本物のピアノと同様の88鍵ありさえすれば最廉価版の電子ピアノでもOKなのです。
しかも繰り返し述べているように、時間帯に関係なく練習ができますから上達が早いという訳です。
電子ピアノメインで練習を重ねてピアニストになった人も大勢いるという事実
例をあげますと・・・
日本を代表する現代音楽の作曲家兼ピアニストである高橋悠治氏は、自宅にあるのは電子ピアノだそうですし、新進気鋭のピアニストである反田恭平氏も学生時代は主に電子ピアノでの練習を行ってきたそうです。
このように、ピアニストとして活躍されている方でも電子ピアノを愛用している例は少なくありません。
ついでに、
第15回(2005)ショパン国際ピアノコンクールの優勝者ラファウ・ブレハッチ氏は、家が貧しかったという理由で、電子ピアノではありませんが安価なアップライトピアノで練習をしていたそうです。
電子ピアノが本物のピアノに及ばない部分やデメリット
いくら電子ピアノといえども良いことばかりではありません。
ではデメリットなども解説していきましょう。
アコースティックピアノの持つ音の響きや音質を完全に再現できないこと
まずは音質の問題です。
本物のピアノは物理的にハンマーで弦を叩いて音を発生させるのに対し、電子ピアノはあらかじめ録音されたピアノの音を打鍵時にスピーカーから再生させているという決定的な違いがあります。
ですから、いくら最新のハイスペックな電子ピアノでもこれに関しては生ピアノのような音にはならないのが現実です。
しかも忘れてはならないのが、本物のピアノから発せられる音というのは叩いた弦の音だけではありません。
他の弦が共鳴する倍音もありますし、響板や本体なども響く為、結果的に厚みがあり豊かで美しい『ピアノの音』になるのです。
これは残念ながら電子ピアノでは完全に再現できないものです。
余談ですが、世界的な高級ピアノメーカーであるスタインウェイのグランドピアノは、『ピアノの足の部分』も音を響かせるものだと考えて設計しているそうです。
そこまで徹底しているのはすごいですね。ほるべー隊長も一度は所有してみたいな〜。
確かに初心者や子供でもそういった本物のピアノの音色を体感しながら練習することは大切です。
電子ピアノではそのような体験が出来ないことはデメリットと言えます。
本物のピアノほどの表現力を有していないこと
はっきり言ってこれはピアニストや上級者、またはそれを目指している人が気にすることですが、
「硬い音や柔らかい音」
「重い音や軽い音」
といった、単なる音の大小や強弱ではない感情的な音を表現するには電子ピアノでは限界があります。これがグランドピアノでは表現できるのです。
残念ながら自分はまだまだその境地に達してはいませんが(笑)
実際にピアノ講師の方々はそれを重要視していることが多く、先に述べた音の響きも含め、主にそういった理由で「電子ピアノでの上達は不可能」という見解になるようです。
ただし、これは初心者や初級者の方が懸念することではありません。
まずは『弾く』という技巧的な部分がしっかりと確立されてから新たに見えてくる世界ですから。
電子ピアノには寿命があること
安価で購入でき、維持費も電気代くらいしか掛からない電子ピアノですが、実は寿命があります。大体どこのメーカーも同じですが、適正使用期間は約10年が目安だと言われています。
10年ですから短命ではありませんが・・・
ちなみに本物のピアノは調律やメンテナンスをしっかり行なっていれば実質的に寿命はありません。
電子ピアノで練習をするときの注意点
経験上電子ピアノで練習する時に注意して欲しい点が幾つかありますからご紹介します。
音量は本物のピアノで弾いた時と同じくらいで聞こえるように調整して練習しよう
まずは練習時の音量です。
電子ピアノでヘッドフォンを使用しないで練習する場合、周囲への配慮で音量を小さくしがちですが、これは絶対にやってはいけません。
なぜなら、音が小さい分、余計な力を込めて弾いてしまうという悪いクセがついてしまう危険性がある為です。
この『余計な力』を込めるクセが付いてしまいますと、上達に必要な『脱力』という技法が身に付かず、技巧的に難しい上級レベルの曲はお手上げになってしまいますよ。
ですから、
出来るだけ本物のピアノと同じくらいの音量で聞こえるように調整して練習しましょう。ヘッドフォン使用時も同じです。
ピアノ教室などに通われている方ならば、本物のピアノの音量がどれくらいかわかるはずです。
どうしてもヘッドフォンを使わずに、しかも音量を下げて弾きたい時でも普段通りの力加減で練習して下さい。
電子ピアノではペダル操作が雑になりがちな点
もう一つ注意してほしいのはペダル操作(特に音を響かせるダンパーペダル、一番右のペダル)です。
ペダル操作の技術に関しては、電子ピアノでは本物のピアノに比べて上達がやや遅れる傾向があります。
知人のピアノ講師も同じことを言います。
なぜかと言いますと、前項でも触れましたが電子ピアノは音量を下げて練習した場合、雑なペダル操作でも音が濁る実感を得られないからです。
ですから、繰り返しになりますが音量は本物のピアノと同じように設定しましょう。
もう一つ決定的な違いが、音を出す原理自体が違うことによるものです。
電子音ではなく直接弦を響かせるアコースティックピアノですと、少しでも雑なペダル操作だとたちまち濁った汚い音になってしまいます。
これは構造上の違いですから致し方ありません。
ただし、最新の電子ピアノは以前のものに比べてペダルに関してもよく考慮して造られています。さすがに本物と全く同じというわけではないですが、少しだけ音を響かせたい時に使う『ハーフペダル』という技法も再現可能です。
これには本当に感心します。最新の電子ピアノに搭載されている技術ってすごい!
まとめると、アコースティックピアノのほうがよりペダル操作に正確さや繊細さが求められることは紛れもない事実です。
最低限、その事実は受け入れて練習して下さいね。
電子ピアノではどのレベルまで上達可能なのか?
これはあくまでも自分の主観も入りますが、
中級者レベルまで使い続けても全く問題ないと考えています。
上記の曲が弾けるくらいのレベルになるまで使い続けてもOKですし、プロや音大を目指すわけでないのなら、それこそずっと使い続けるのもアリです。
『上達』という言葉の意味にご注意を
この記事でもこれまで『上達』という言葉を何度も使っていますが、そもそもどのレベルまで到達したら「上達した」と言うのでしょう。
ここまでお読み頂いた方には何となくお分かりだと思いますが、『上達』の種類や度合いは実に幅広く、様々です。
●全くピアノを弾いた事がない人が指の使い方を覚えることも『上達』
●初心者が簡単な曲を弾けるようになることも『上達』
●中・上級者がさらに演奏の質を向上させるのも『上達』
しかし、この『上達』という言葉に注意して頂きたいのです。
例えば・・・
「電子ピアノでは上達しない。絶対に本物のピアノで練習をするべきだ」
といった類いの内容が、実際にピアノ教室のホームページなどに書かれていることが多々あります。
しかし、
主にそんなピアノ教室の先生などが言う『上達』とは、どのレベルのことを言っておられるのでしょう?
少なくともその先生自身と同じレベルか、それより上の領域を目指すのであれば確かにその通りです。
ですが、
それは始めたばかりの初心者や初級者にも完全に当てはまる事とは言えませんよね?
そんな先生が言う『上達』とは、すでに中級レベルを超えて音大・ピアニストを目指す人達への言葉であると解釈するべきです。
しかし中には、
「電子ピアノで練習をするくらいならしないほうがマシである」
という暴言に近いような事を言うびっくり仰天なピアノ講師もいます。
音大生や、プロを目指す人に向けて限定的な意味を込めて言うのならば納得できますが、初心者から上級者まで幅広く教えている講師がそのような発言をすることは驚きです。
自分もピアノと教育・心理学を学んできた端くれとして、ここはハッキリと言わせて頂きます。
これでは『普段からアコースティックピアノで思う存分練習ができる』という限られた人にしか上達は不可能であると言っておられるも同然ですし、それが出来ないのなら上達は不可能であるとの誤解を与えてしまいます。どんな環境やレベルにある人でも上達へと導いてあげるのがレッスンプロとしての役割ではないでしょうか?経験上、そんなことを平気で言う講師を信用してはいけません。
その言葉を真に受けてしまい、アコースティックピアノでの練習環境が充分ではないにもかかわらず購入してしまい、結果的に練習時間が取れずに上達が足踏みしてしまった・・・
といった実話をよく耳にします。
これは大変悲しく、もったいないことですね・・・
まとめ
最後にまとめますと、
電子ピアノでも上達は充分に可能です。
特に最新の機種はアコースティックピアノに近い弾き心地や音を再現できるところまで進歩していることも事実です。
それから何度も繰り返し述べていますが、特に初心者や初級者にとってピアノ技術上達の為に大切なことは、
『練習する時間を充分に確保できること』
これが非常に大事なことです。
練習なくして上達は絶対にあり得ません。
確かにしっかり調律された質の良い本物のピアノで練習を行うことがベストなのは言うまでもありませんが、
まず初めは電子ピアノを所有して練習を重ねていき、それに物足りなさを感じてくるようなレベルまで上達したら、グランドやアップライトピアノに移行していくということも全然アリなのです。
※ ※ ※ ※ ※
初心者から上級者まで幅広く、個々のレベルに応じて電子ピアノは上達に貢献してくれます。
さすがに5万円クラスの廉価版では本物のピアノとの打鍵感や音質に違いがあり過ぎる為、本格的なクラシック音楽の練習や演奏には向きません。
ただし、ポピュラー音楽などの和音重視の演奏や、あくまでもボーカルの伴奏として使うという用途にはアリですね。
繰り返しになりますが、個人的には20万円クラスの電子ピアノがおすすめです。
と言いますか、そのクラスならば間違いはありません。
現在所有しているローランド(HP704)と以前所有していたヤマハ(CLP-645)の比較レビュー記事です。こちらも参考にしてください↓
安価だからこそ気軽に購入しやすい電子ピアノ。
そして間違いなく上達が可能な電子ピアノ。
初心者・初級者の初めてのピアノとして、そして中・上級者のサブのピアノとしてもおすすめです。
では、今回はこれで失礼致します。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!