教習所では詳しく教えない「実際の道路でのクラクション(警音器)の使われ方・使い方」を解説します
どうも、元教官のほるべーです。
今回はクラクションのお話です。
実際の道路では教習所で教えている内容(道交法)とは違い、独自の使用方法が生まれているケースがあります。その一つが「クラクションの使用」についてです。
では法律と現実での使用方法の違いや、使用する際の注意点などを解説していきましょう。
- 警音器に関する道路交通法での規定は?
- 実際の道路ではこう使われている
- 「感情表現での使用」は交通トラブルに発展する
- 危険が去ったあとのクラクション使用も交通トラブルに発展する
- クラクションの使用はなるべく控えよう。鳴らす時間は極力短く。
- 道交法で定めるクラクション使用の基本をもう一度考えてみよう
警音器に関する道路交通法での規定は?
教習所ではどう教えているのか
基本的に教習所では道路交通法に定められたことを教えます。
これは当然ですね。
ではクラクション(警音器)の使用について道路交通法ではどう規定されているのかというと、
「警音器は指定された場所(警笛鳴らせ標識がある場所)以外で鳴らしてはいけないが、危険を避ける為にやむを得ない場合は鳴らしてもよい」
となっています。
道路交通法での「危険を避けるためにやむを得ない場合」ってどんな場合?
これがとっても難しいのですよ。何せ様々なケースがありますからね。一概には言えないというのが正直なところです。
とりあえず超簡単に具体例を挙げてみます。
「人や車が急に飛び出してきた時」
「人や車が飛び出してきそうな時」
「前車が急に後退をして衝突される危険がある時」
はっきり言って、法的にOKなのはこれくらいしかないです。
実は違反になるケース
これから挙げる例は道路交通法では違反になりますよ。
「前車の発進を促す使用」
「あいさつやお礼での使用」
意外とやる人多いですよね。
特に”前車の発進を促す使用”は、運転する人ならば1度は経験があるのではないでしょうか?でも厳密に言うとこれも違反になります。まあ、ほとんどの場合はこの程度で違反切符を切られることはないですが。じゃあ、そんな時はどうするのか?
警察庁の見解はこうです↓
「車から降りて、前車のドライバーさんに窓越しに教えてあげて下さい」
というのが正解だそうです(笑)さすがにそこまで徹底している人は見た事がありませんが・・・
実際の道路ではこう使われている
ようやく本題に入ります。
クラクションの使用を心理学の観点で研究された専門家がいらっしゃいまして、その先生の見解を紹介します。
実際の交通場面でのクラクションの使用目的は、
①「あいさつやお知らせの為の使用」
②「安全の確保の為(危険回避)の使用」
③「感情表現での使用」
この3つに分類されるそうです。そしてこの3種類には鳴らす時間(長さ)に決定的な違いがありまして、
①「0.2秒程度」
②「0.2〜1秒程度」
③「1秒以上」
という違いがあるそうです。
よく調べたもんだ
鳴らす時間が違いますね。
例えば①の場合、「道を譲ってもらった時」などが該当しますが、そんな時みなさんはどれくらいの時間鳴らしますか?
おそらくほとんどの方がとても短い時間の使用だと思います。それは、感謝を伝える為なのに長いクラクションは逆の意味(怒りや報復)になることを経験で知っているからです。
しかし③「感情表現での使用」はどうでしょう?
割り込まれたりするなどして、怒りの表現としてクラクションを使う人がいますよね。このケースは鳴らす時間が非常に長いのが特徴ですね。
「感情表現での使用」は交通トラブルに発展する
いま流行の?煽り運転や交通トラブルを引き起こす原因になっているのが、この「感情表現でのクラクション使用」です。年間、クラクションが関係する交通トラブルは相当な件数(認知されていないものを含めると数万件以上)になるそうです。その中には殺人・傷害事件までに発展するケースも多々あります。
怒りの感情にまかせて長く鳴らしてしまう行為は、はっきり言って喧嘩を売る行為と同じです。絶対にやめたほうがいいです。相手はどんな人間かわかりませんから。
危険が去ったあとのクラクション使用も交通トラブルに発展する
もう一つ、トラブルに発展しやすいケースがあります。
「脇道から多少無理なタイミングでクルマが出てきて合流した。その直後にクラクションを鳴らした」
こんなケースはどうでしょう?
これは相手にしてみたら自分のミスを公衆の面前で怒られたととらえる人もいるでしょうし、恥をかかされたと思う人もいるでしょう。これもトラブルに発展する危険性大です。そんなお説教のようなクラクションも厳禁です。
クラクションの使用はなるべく控えよう。鳴らす時間は極力短く。
交通トラブル回避にはクラクション使用が大きく関係しています。できれば鳴らさないようにするのが良いです。しかし、どうしても危険回避の為に使用することもあるでしょう。そんな時は必要以上に長く鳴らすのではなく、相手に聞こえる程度の長さで充分なのです。
そもそも危険場面でクラクションを長く鳴らしている時間があるのなら、自分もブレーキやハンドル操作での危険回避をしろって話です。
はっきり言ってハンドル操作で危険回避をしながらクラクションを鳴らすなんて芸当はよほど運転に慣れた人でも難しいですよ。中国雑技団レベルです。
道交法で定めるクラクション使用の基本をもう一度考えてみよう
クラクションは「危険回避の為やむを得ない場合の使用」に限られますし、法律でそのように定められているのは無用なトラブルを防止するという意味も含まれているのです。確かに道交法違反とはいえ青信号で前車が発進しない場合は使用してしまうこともあるでしょう。ただ、そんな時でも極力短く鳴らしましょう。
何度も言いますが、クラクションはトラブルの発火装置ですから。
そのことを忘れないようにして下さいね。
今回はクラクション使用についての解説でしたが、多少でも理解を深めて頂けたらさいわいです。
ではクラクションは正しく使用してトラブルなく平穏なドライブを!