冠攣縮性狭心症でも温泉旅行は可能ですが、注意すべき点を解説します
どうも、温泉大好きほるべー隊長です。
みなさんの中には、私と同じようにいつ発作が起きるかわからない冠攣縮性狭心症という病気を患っているけれど、
「温泉旅行に行っても大丈夫なのだろうか?」
という心配をされておられる方も多いと思います。
しかし自分は何度も泊まりで温泉旅行に行ってますよ!
個々の病気の程度にもよりますが、注意すべきポイントを抑えれば大丈夫な場合が多いです。
ちなみに自分はこの病気を患ってから、
『温泉ソムリエ』の資格を取得しました。
温泉への知識を深め、より安全安心に温泉旅行を楽しめるよう、そして体への負担が少ない入浴方法などを学ぶ目的のためです。
ですから、
『温泉ソムリエとしての知識』と『現役患者』という二つの肩書き?から注意するポイントを解説していきます。
ただし!
それぞれ病気の程度にもよりますから、温泉旅行に行っても大丈夫かどうかは、必ず主治医の先生に相談して下さいね。
ちなみに自分の主治医の先生によれば、冠攣縮性狭心症でもよほど重度でない限り大丈夫との回答をいただきました。
さあ!全国の冠攣縮持ちの皆様!
温泉旅行を楽しみましょう!
ということで本題に入りますね。
旅行先を決定する際で気を付けるポイント
最初は近場から始めよう
最初はなるべく近場がベストです。
それは単純に身体への負担軽減の為という理由です。
やはり遠方ですと移動するだけで疲れてしまいますし、旅行は結構体力を使うものです。
ちなみにマイカーなどを運転して行く場合、最初はできれば片道2時間以内の場所にしましょう。
この『2時間』という数値には理由があり、個人差はありますが、一般的に2時間を超す運転になると、疲労の度合いが段違いに上がってしまうというデータがあります。
一応自分は、元自動車学校指導員で交通カウンセラー、運転関係の専門家です(笑)
片道2時間を超えるような遠方への旅行(運転)は、もっとこの病気に慣れてからにしましょう。
大きな病院がない地域への旅行は病気に慣れるまではやめたほうが無難
例えば離島など、総合病院が無い地域への旅行も病気に慣れてからのほうが無難です。
当然ながらどこに行く場合であっても特効薬のニトロを携帯することは必須ですが、
もしもニトロでも抑えきれない救急車レベルの発作に見舞われた場合、大きな総合病院などが無い地域はある意味で致命的とも言えますし、
「この地域には病院が無い・・・」
という不安が常に付きまといますから精神安定上、良いとは言えません。
不安が発作を呼ぶという事実もありますからね。
やはりこのような地域への旅行は、自身の症状の特徴(発作の頻度や程度、ニトロの効き具合など)をしっかり把握できてから行くべきです。
持参する『薬の服用など』に関する注意点
薬は絶対に忘れず、飲み忘れと二重の服用に注意しよう
着替えの下着は忘れても構いませんが(笑)、
薬は絶対に忘れてはいけませんよね!
『普段服用している薬+ニトロ』
この病気、薬は生命線ですからね!
それから、
普段服用している薬は、必ず予備を持参しましょう。
なぜなら、薬をフィルムから取り出す時に誤って洗面所の排水溝などに落としてしまうトラブルが無いとは言えないからです。
ただしここで注意点を1つ!
よくありがちなことですが、
服用したのにまだ飲んでいないと勘違いをして、また服用してしまうという危険な失敗例も考えられますから、旅行ではなるべく普段使用している薬ケースを持参し、予備の薬は別のケースに入れておくという対策が効果的です。
この方法ならば誤って2度も服用するという危険なトラブルを回避できますよ。
ニトロはたくさん持参しよう
それから、
一泊旅行ならばニトロも10錠程度は持参しましょう。
決して多すぎではありません。むしろ多いほうが安心感増大です。
ニトロに関してもう一つ注意点がありまして、
入浴などの時も必ずニトロは携帯する!
ということです。
防水ケースで首からぶら下げるニトロケースならば最適ですが、そうでなければ脱衣所に持っていくだけでもOKです。
実際に自分がやってしまった失敗談ですが、
入浴時、見事にニトロを部屋に忘れてしまい、入浴中に気付いて慌てて風呂から上がりました。
だからといって発作に見舞われたわけではありませんが、ニトロを忘れたことに気付いた時の焦りと不安感は大きかったです・・・
入浴時の注意点
さて、入浴時の注意点を述べていきます。
温泉は種類にもよりますが、家庭用入浴剤とは比較にならないくらいの薬効成分が含まれているので、『間違った入り方』をすると心臓だけでなく、身体に相当な負担を掛けてしまいます。
温泉はその高い効能ゆえに『毒』にもなってしまいますから、ぜひとも正しい入浴の仕方を覚えて下さいね!
入浴前に1杯の水を飲む
よく入浴後は水を飲む人が多いですが、入浴の前にも飲んでおくとより効果的です。
入浴すると発汗で血液がドロドロの状態になるので、特に循環器疾患にはよくありません。
入浴前の1杯の水はそれを軽減する効果があると言われています。
さらに言うと、水でも良いのですがおすすめはビタミンCが含まれている『緑茶』。
旅館などでは菓子と一緒に出されることが多いですよね。
もっと言うと、温泉まんじゅうなどの『茶菓子』も食べておくとより効果的です。
宿で出されるお茶や菓子は『お客様へのおもてなし』や『名産品の紹介』といった意味の他に、『温泉入浴のための栄養補給』という目的もあります。
入浴前の『かけ湯』をしよう
これは身体の汚れを落とすだけでなく、
温泉の泉質やお湯の温度に慣らすためのものです。
いわば運動前の準備運動です。
ですから、できればシャワーなどの真水ではなくて浴槽などの温泉水を使うのがベストです。
それから、かけ湯は心臓の位置から遠い『足先』などから行うとよいと言われています。
自分は他の入浴者の迷惑とならないように配慮しながら、10杯程度はかけ湯を行っています。
長湯は禁物
前置きでも言いましたが、温泉は想像以上に薬理効果が高いですから、心臓などの基礎疾患が有る無しにかかわらず、長湯は禁物です。
ゆでだこ状態になってはいけません!
個々の温泉の成分濃度や温度によって一概には言えませんが一つの目安として、
額にじんわり汗をかくような感覚になったら風呂から上がるサインと覚えておくとよいそうです。
それから、短い時間の入浴と湯船から上がって休憩を繰り返す『分割浴』も身体への負担は軽減しますし、湯冷めもしにくくなると言われていますよ。
こんな時の入浴はやめよう
●朝の寝起き時
●お酒を飲んだあと
代表的なNGはこの2つですね。
まず『朝の寝起き』は交感神経と副交感神経が入れ替わる、冠攣縮性狭心症患者にとっては発作頻発の時間帯ですし、寝起きの入浴は急激に血圧が上がり、とても危険です。朝風呂は朝食を済ませ、身体が十分に目覚めてからのほうが良いです。
『お酒』に関しては言うまでもありませんね。転倒や意識混濁といった危険の他、入浴によってアルコールが全身を巡り、結果心臓への血流が減って発作を誘発する場合があるそうです。
飲んだ後は入浴せずに大人しく部屋で過ごしましょう(笑)
滞在時の入浴の回数は?
これは体調や泉質の種類・温度によって違ってくるのですが、
基本的に自分は一泊二日の滞在であれば、夕食前に1回、翌朝の朝食後に1回の計2回としています。
温泉好きにとってはちょっと物足りないですが・・・
ただ、泉質が『単純温泉』など比較的成分が薄い温泉ならば、1〜2回プラスすることもあります。
余談ですが、自分はこの病気になってから比較的成分の薄い温泉が好みになりました。それまでは群馬県の草津温泉や兵庫県の有馬温泉などに代表される『温泉成分が濃厚の名湯』が好きでしたが(笑)
ついでにもう一つ、
外湯巡りもやめました。
またまた私事で恐縮ですが、毎年長野県の野沢温泉で外湯巡りをするのが年に一度の楽しみの一つだったのですが・・・
まあ、健康な人でも入浴の回数は多過ぎると良くないですからね。
とっても残念ですが、病気を患ってからは『足湯』で我慢しています。
寒い時期の露天風呂はNG
基本的に自分は露天風呂よりも内湯派なのですが、とは言っても景色の良い露天風呂って最高の気分ですよね!
しかし・・・
冬など寒い時期はやめましょう。
言うまでもありませんが、心疾患にとって『気温差・温度差』はかなり危険要素です。
寒い外気温は確実に血管が収縮します。
そんな時期は内湯で我慢しましょう。
サウナも危険
自分はもともとサウナには入らないのですが、これも危険です。
サウナの熱気が発作の引き金になったという経験談を聞いたことがありますし、サウナ後の水風呂は発作誘発の超危険行為ですから絶対にやめるべきですね。
最近はサウナの後に水風呂に入り、「ととのう」という現象が流行みたいですが、心疾患持ちの人はやめましょう。
その他の注意点
温泉の禁忌症(きんきしょう)について知っておこう
温泉には禁忌症(きんきしょう)というものがありまして、簡単に言いますと
「病気を悪化させる可能性があるので該当する人は入浴しないでね」
という意味です。
↓脱衣所などに掲示されてます
具体的にどんな病気の方がダメなのかと言いますと、
「急性疾患(特に熱がある場合)」「活動性の結核」「悪性腫瘍」「重い心臓疾患」「呼吸不全」「腎不全」「出血性の疾患」「高度の貧血」「その他一般に病勢進行中の疾患」「妊娠中(特に初期と末期)」
という事です。
とりあえず冠攣縮性狭心症の場合はこの中に該当するものは無いです。
あるとすれば「重い心臓疾患」と「その他一般に病勢進行中の疾患」ですが、そもそもそのような健康状態ならば温泉旅行自体が出来ません。
ただしこれは『一般的な温泉の禁忌症』であって、『泉質の違いによる禁忌症』もありますので、気になる方は事前に宿に確認するほうが良いと思います。強烈な泉質を持つ温泉もありますからね。
まあ、自分はそこまでは気にしません(笑)
お酒は控えめに
もともと飲酒をしない人には関係ありませんが、これは当然ですね。
冠攣縮持ちの方であれば普段から自身の飲酒可能量を把握していると思いますので、それを超えないように気を付ければ良いということですね。
でも、温泉宿だとついつい飲み過ぎてしまうんですよね・・・
おわりに
いろいろと注意点はありますが、それをしっかり守れば冠攣縮性狭心症でも温泉旅行は充分に可能です。
やはり温泉はなんとも言えない”非日常”を味わえますからリフレッシュするには最高ですよね。
特に冠攣縮性狭心症は、日常のストレスを発散するということも非常に大事なことではないかと考えています。
そしてこんな病気の為に楽しみを我慢するのは実にもったいないことです。
最後に、
この病気は調子の良い時期・悪い時期がありますから、悪い時期は決して無理をしないで下さいね。不安でしたら主治医の先生に相談するとか、旅行を延期するという判断も必要です。
さて、
冠攣縮持ちで温泉好きのみなさん、思い切り心を解放できる楽しい温泉旅行に出掛けましょう!
ではまた!