本番で緊張や失敗をしない為の効果的なピアノ練習方法(中・上級者向け)
どうも、ピアノ愛好家ほるべーです。
今回はピアノの発表会や音大入試などの実技試験で出来るだけ緊張や失敗をしない為の練習方法についての解説です。
まず初めに・・・
本番は誰でも緊張します。
そして誰でもミスをします。
たとえピアニストでも。
決してあなただけではありません。
そう考えるだけでも少し気持ちがラクになりませんか?
「そんなこと言われなくてもわかる!」という声が聞こえてきそうですが
こんな偉そうなことを言っている自分も結構緊張して本番でミスをするほうです(笑)
人はそういった緊張するような場面では、6〜7割程度の力しか発揮できなくなるそうです。
ですが、本番で緊張や失敗を減らす練習方法があることも事実です。
ピアニストやプロの演奏家は本格的なメンタルトレーニングをされている方もたくさんいらっしゃいますが、それはとても手軽にできるようなものではありません。
ということで、今回は比較的簡単に実践可能な練習方法を3つご紹介します。
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暗譜をしてからも楽譜を意識しながら弾く練習をする
なぜこのような練習が良いのかと言いますと、
実は・・・
暗譜をして曲を弾くことに慣れれば慣れるほど、指が意識せずとも勝手に動いてくれるようになってきますが、実はこれが大きな落とし穴なのです。
この段階まで来ると、多くの人が『楽譜の存在』を意識しなくなります。
つまり、
楽譜の情報を基にして弾くのではなく、自然と身に付いた指の動きのみで演奏をすることになりますから、
少しでも指の動かし方に迷いなどが生じた場合に演奏が破綻して中断してしまう事態になってしまいます。
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実はピアノに限らず、
日常生活の中でもこれに似たようなトラブルがあります。
それは何かと言いますと・・・
『キャッシュカードの暗証番号の打ち込み』
などです。
当然、これらパスワードには『数字』が使われていますが、
慣れてくると数字を意識するよりも、
指の動きだけでテンキーを操作するようになりますよね。
そう、
指が勝手に数字のある位置を覚えてしまうのです。
そしてある日突然、
「急に指の動かし方がわからなくなり、パスワードを入力できなくなった」
というトラブルにつながります。
こういった経験をされた方は多いのではないでしょうか?
普段から『数字』を意識して打っていれば良いのですが、
『指の動かし方』だけで覚えてしまうと、このような事態になってしまうことがあるわけです。
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ピアノ演奏の場合、
前述したスマホやキャッシュカードのパスワード入力よりも何倍も複雑な作業をしなければなりません。
ですから指の動かし方だけで覚えてしまうと、
緊張を強いられる本番での演奏中などで指の動きがわからなくなるという事は非常に多いのです。
そういった場合、弾き直すことは非常に困難になります。
余談ですが、そんな時は弾き直さずに『無理矢理にでも』次へ次へと進んでいったほうが良いですよ
まとめると・・・
できれば普段から常に楽譜の音符を意識しながら弾く習慣をつけることが大切です。
それによって無意識のうちに勝手に覚えた指の動きに楽譜の情報がプラスされて、暗譜がより強固なものになるからです。
<やり方>
楽譜を見ないでも弾ける状態になったら、あえてまた楽譜を見ながら弾く練習をして下さい。
それから、
『楽譜を見ないで弾く』
『楽譜を見ながら弾く』
を何度も繰り返して練習してみましょう。
そうすることで、知らず知らずのうちに楽譜の情報(音符など)を意識するようになって楽譜による確かな裏付けがされていき、指の動きのみで弾くよりもミスが減って演奏破綻のリスクも抑えられるようになるはずです。
もう一つ、
楽譜を見ないで弾く時も、なるべく楽譜を思い浮かべながら弾くとより効果的だと言われています。
ただし楽譜の情報をすべて思い浮かべることは相当難しいですから、
楽譜の音符すべてを意識しようとするのではなく、『絶対に外してはいけない音』や『区切り、ポイントとなる音』などの音符を意識して弾いてみて下さい。
これならば比較的簡単に実践できますし、それだけでも効果はかなり大きいですよ。
他にこの練習がもたらすメリットとして、
本番の演奏中、常に楽譜の情報を思い浮かべることで演奏そのものに集中でき、余計な雑念などを考える隙がなくなり、
「頭の中が真っ白になる」
という最悪の事態を激減することができるという効果もあります。
故意的に曲の途中で演奏を止めて、続きを弾く練習をする
練習している曲が楽譜を見なくてもスラスラ弾ける状態になったら、前項でご紹介した『楽譜を意識した練習』と併せてこの練習も取り入れて下さい。
<やり方>
①楽譜は見ないで弾き、どこでもよいので曲の途中でピタリと演奏を止めます。
②できれば指は完全に鍵盤から離します。
③続きを弾きます(この時は楽譜を見てもOK)。
このような練習を随所に取り入れて下さい。
実はこれも結構難しいです。
最初はびっくりするほど弾き直しが出来ないかもしれません。
特に指の動きだけで暗譜をした場合はなおさらです。
『無意識に指の動きだけで弾く』という行為がいかに危険であるかが体感できます。
ですから、その時は楽譜を見てもOKです。
というよりも、その時は楽譜を見たほうが効果的です。
このような練習を繰り返しているうちに、
イヤでも楽譜にある音符を意識するようになっていきますし、慣れてくれば曲のどこからでも演奏を再開できるという自信が付き、本番での精神的な不安要素を取り除いてくれます。
実際に本番でミスをして止まってしまった場合でも、このような練習に慣れていればスムーズに演奏を再開できますよ。
<補足>
②の『指を鍵盤から離す』について、最初は指の形を維持したままで鍵盤から10㎝くらい離す程度から始めてみて下さい。これによる弾き直しは比較的簡単にできます。
慣れてきたら完全に指の形をほどいて『バンザイ』するなりして、手をかなり鍵盤から離してから弾き直しをしてみましょう。これは難易度が高いですよ。
起床時の「まだ体調が万全ではない状態」で弾く
この練習方法は自分が音大生の頃に師事していた先生から聞いた方法で、著名なピアニスト達が密かに?実践している練習方法です。
日本人ピアニストの大家である故・羽田健太郎氏もこの練習方法を幾度か紹介しています。
冒頭でも述べましたが、人は緊張状態などにある場合は本来の実力の6〜7割程度の力しか発揮できません。
それに近い状態というのが、まさに起床時なのです。
身体は言う事を聞いてくれないのにピアノ演奏をするという極限の状態。
これは、緊張などで思うように力を発揮出来ない『本番での演奏』と似た状態です。
<やり方>
ベッドや布団から出たらすぐにピアノを弾いてみましょう。
しかも指の準備運動などは一切しないで、いきなり本番を意識して演奏をして下さい。
実際にやってみると分かりますが、「いつもの自分の演奏」にはなりません。
「自分ってこんなにヘタクソだっけ?」
と思うでしょう(笑)
しかし本来の実力の6割程度が出せればOKです。
同じく本番での演奏も、6〜7割程度の演奏が出来れば上出来です。
確かに『起床時』と『本番』では状況が全く同じというわけではないですが、両者共に『万全な体調』でないことは間違いありませんから、ぜひこんな練習も取り入れてみて下さい。
ただし、想像以上に身体に負担が掛かりますから、決して無理はなさらずにお願いします。
おわりに
ピアノの上達には他にも効果的な練習方法がたくさんあり、代表的なものとして『苦手な箇所を繰り返し練習する』などのやり方があることは有名ですが、あえて今回は本番での演奏に的を絞り、なるべく緊張や失敗をしない為に普段から取り入れたほうが良い練習方法をご紹介しました。
加えて、更なるレベルアップを目指す方や上達が頭打ちになっている方、そして初心者の方もぜひお試し下さい。
それでは皆様のピアノ演奏技術の上達を願っております!
今回はこの辺で失礼致します。
充実したピアノライフを!